五湖と共生 環境保全活動

三方五湖とその周辺での自然再生目標 
~三方五湖自然再生全体構想~

三方五湖とその周辺での自然再生目標

こちらは、平成24年3月に、協議会にてとりまとめた三方五湖自然再生全体構想の全容です。
自然再生の取組範囲については、この図にあるように、三方五湖の湖面に限らず、湖とかかわりのある、美浜町・若狭町の周辺地域を含んでいます。
「湖と里をとりまく自然と人のつながりの再生」を大きなコンセプトに掲げ、具体的なアクションに向けた3つのテーマに分割し、合計20の目標を掲げました。
テーマ1では、生物多様性の保全・再生に関わる7つの目標、テーマ2では、湖や周辺地域で得られる資源の賢明な利用(ワイズユース)に関わる6つの目標、テーマ3では、湖や周辺地域での環境教育・文化継承に関わる7つの目標を設定しています。
これらを目的とし、以下に紹介する6つの部会を結成して、協議会の活動に取り組んでいます。
一方で、現在、地球の環境はますます悪化するとともに急激に変化をし続けており、三方五湖においても同様です。
かつて私たち人間は、自然と同じ目線・同じ速度で生活をする中で、自然とその恵みを身近に感じ、感謝しながら生きていました。
しかし、現在、私たち人間の生活スピードは、自然のスピードを遥かに追い越し、自然の恩恵を感じにくい生活環境へと急速に変わっています。
こうした現状を受け止めたうえで、過去の自然と人との共生の姿を振り返り、そこから学びながら、これからの「新たな共生」の仕方を模索していくことが求められます。

自然護岸再生部会

・治水と生物多様性保全が両立する自然護岸の再生
湖のコンクリート護岸に、石や砂等を活用した自然護岸を新たに設置することにより、多様な生き物の生息環境を整備しています。
石積みの護岸は湖の魚介類などの住みかとなり、砂を用いた護岸はシジミなどが好む浅場となります。

自然護岸として三方湖に石倉漁礁を設置
●自然護岸として三方湖に石倉漁礁を設置
方湖における自然護岸再生モデル
●三方湖における自然護岸再生モデル
 (出典:久々子湖、水月湖、菅湖、三方湖、及びはす川等の自然護岸再生の手引き)

湖と田んぼのつながり再生部会

・田んぼでのフナ、コイなどの育成、放流
フナやコイなどが水路や水田へ遡上し、産卵が行われていた昔の水辺環境を再生するために、三方湖周辺の育成田(※1)で稚魚育成を行っています。
また、菅湖周辺では休耕田(※2)を整備して育成田とし、稚魚育成、放流を行っています。
漁業者のみならず、農業者、学校など多様な主体が環境保全に取り組んでいます。
(※1 育成田:フナやコイなどの稚魚を育てる田)
(※2 休耕田:米作りを行っていない田。中干しを要しないため水をためたまま育成が可能)

三方湖周辺の育成田と、魚が水田に出入りできるようにするための魚道
●三方湖周辺の育成田と、
 魚が水田に出入りできるようにするための魚道
菅湖畔の育成田(休耕田)
●菅湖畔の育成田(休耕田)
三方湖周辺の育成田
●三方湖周辺の育成田

外来生物等対策部会

・外来生物の捕獲・除去活動
ブルーギル、ウシガエル、アメリカザリガニ、アカミミガメ等、三方五湖周辺の水辺の生物多様性に影響を及ぼす外来生物を捕獲・除去しています。

・三方湖のヒシの適切な密度管理
三方湖に繁茂するヒシによる、生態系や漁業、湖岸沿いの集落の生活環境、景観への悪影響を防ぐため、刈り取りによる低密度化に取り組んでいます。

外来生物駆除のための罠の設置
●外来生物駆除のための罠の設置
捕獲したアカミミガメ
●捕獲したアカミミガメ
三方湖に繁茂するヒシ
●三方湖に繁茂するヒシ

環境に優しい農法部会

・流域の環境に優しい農業の推進と普及
流域の水質に影響する「水田の代かきで生じる濁り水の流出防止」の取組みなどを行っており、「環境に優しい農法認証制度(認証米など)」の普及にも取り組んでいます。

「水田の濁水流出防止策」のためのチラシ(2024年度版)
「環境に優しい農法」認証制度のパンフレット

「環境に優しい農法認証制度」のシールと米袋
●「環境に優しい農法認証制度」の
シールと米袋
水田から河川に流出した濁り水
●水田から河川に流出した濁り水

濁水流出防止のためのPR
●濁水流出防止のためのPR

環境教育部会

・学校や各種団体への三方五湖地域の自然を活かした環境教育
地域の小学校や子どもラムサールクラブ(※3)などを対象に、体験学習や生物観察など、三方五湖の自然に触れる環境教育活動を行っています。
(※3 子どもラムサールクラブ:美浜町・若狭町の小中学生を対象にした、三方五湖周辺の豊かな自然を学び、感じてもらうことを目的としたクラブ)

・「昔の水辺のくらし」の絵画
若狭町・美浜町内の子どもたちによる、かつての豊かな三方五湖の自然の姿を描いた絵を募集・公開しています。絵画はwww.mikatagoko.jpで見ることができます。

「昔の水辺のくらし」作品展
●「昔の水辺のくらし」作品展

▽「昔の水辺のくらし」の絵画をもとにした絵本が発行されました。ぜひご覧ください。
・絵本「むかしのみずべは」2022年3月発行
・発行者 総合地球環境学研究所Eco-DRRプロジェクト
・YouTubeでも絵本を紹介しています。(https://www.youtube.com/watch?v=jrUgc4q6zIg

▽上記のWEBサイトwww.mikatagoko.jpには、絵画を使って三方五湖の自然・文化・歴史などの情報を
まとめた「みんなの三方五湖マップ」が掲載されています。こちらも是非ご覧ください。

シジミのなぎさ部会

・シジミの生息環境再生のためのなぎさ整備、シジミの資源量調査
久々子湖や水月湖にて、シジミの生育に適した浅場を再生するために、土砂を入れてなぎさを整地するとともに、シジミの資源管理のための調査を行っています。
また、整備した浅場にて、シジミ採集体験や環境学習も行っています。

水月湖でのなぎさの整備
●水月湖でのなぎさの整備
湖でのシジミの採集
●湖でのシジミの採集 

◆三方五湖自然再生協議会の活動をより詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
(福井県HP:三方五湖自然再生協議会について)
 https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/shizen/mikata-goko/kyogikai.html

◆紹介した協議会の各部会の直近の活動報告は、以下のPDFをご覧ください。
(福井県HP:三方五湖自然再生協議会について R5年度活動報告資料)
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/shizen/mikata-goko/kyogikai_d/fil/R5saiseikyou_shiryou1.pdf


「気候変動による三方五湖の淡水生態系等に与える影響調査」
平成29年より3年間、地球温暖化など気候変動影響への対策に向けて、環境省・農林水産省・国土交通省の連携事業として「地域適応コンソーシアム事業」が実施されました。
全国で53の調査及び普及啓発活動が行われ、三方五湖でも、三方湖のヒシと久々子湖のシジミに焦点を当てた影響調査が行われました。
その成果は、以下のサイトで閲覧することができます。

「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」(国立研究開発法人 国立環境研究所)
地域適応コンソーシアム事業 成果報告3-3 気候変動による三方五湖の淡水生態系等に与える影響調査
https://adaptation-platform.nies.go.jp/conso/report/3-3.html

その他の取組み

◆三方五湖自然再生協議会では、地域資源を活用した商品・体験活動の開発を行っています。

▽認証米を使用した商品
認証米食べ比べおにぎり/白米、アブラギリと認証米を使用した葉寿司、認証米せんべい

認証米を使用した商品
認証米を使用した商品
認証米を使用した商品

▽米粉菓子(試作品)
(※令和5年度は、認証米ではない福井県産の米粉を使用して試作)

  • 若狭三方縄文博物館に展示されている「縄文人の糞石」がモチーフ
  • 福井県立美方高校調理部のご協力の下、試作品を製造
米粉菓子
米粉菓子の試作品
●米粉菓子の試作品

▽若狭三方五湖の特色を活かした夏服(試作品)

  • 令和4年度に実施した草木染を踏襲し、葦を使った綿麻の草木染衣服
  • 三方五湖の生態系をイラスト化し、デザインに取り入れたTシャツ
草木染の紹介
縄文デザイン綿麻夏服例
三方五湖生態系のイラスト
三方五湖生態系デザインTシャツ例

▽三方五湖周辺の草木等を用いた草木染体験

湖周辺のウメ、ハンノキ、ヤシャブシなどを用いた草木染(R4)
●湖周辺のウメ、ハンノキ、ヤシャブシなどを用いた草木染(R4)

▽三方五湖周辺でのランイベント

●若狭縄文リレーマラソン(R4)
●若狭縄文リレーマラソン(R4)

▽自然護岸を活用したカヤックツアー

自然護岸カヤックツアー
●三方湖や菅湖でのツアー(R5)

▽森林整備体験プログラム

森林整備体験プログラム
●三方湖近くでの森林整備の体験とネイチャークラフト(R5)

▽寒鮒の缶詰

三方湖の伝統漁法でとれるフナを活用し、若狭高校と開発したフナの缶詰(R3)
●三方湖の伝統漁法でとれるフナを活用し、若狭高校と開発したフナの缶詰(R3)

・寒鮒の缶詰については、【五湖グルメ】のページもご覧ください。